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2003.11.24 up
■永住外国人に地方選挙権を 多文化共生社会構築への試金石
永住外国人に地方自治体の首長や議員の選挙権を与えることを目的とした「永住外国人への地方選挙権付与法案」を、公明党の冬柴鉄三幹事長が試案として提案したのは1998年9月のことだった。以来、5年余り。同法案は公明党の主導で3度にわたり国会に提出されてきたが、いずれも実質的な審議まで至らず、事実上、棚ざらしにされてきた。
大半の地方自治体で付与を求める決議が採択されているにもかかわらず、なぜ国レベルでは審議が進まないのか。問題の周辺を探る。

なぜ、必要か
  「住民」としての当然の権利


日本に永住している外国人は約64万人といわれ、その内訳は大きく「特別永住者」と「一般永住者」に分けられる。

特別永住者は戦前・戦中を通して朝鮮半島や台湾から日本に連行され、52年のサンフランシスコ講和条約発効時に日本国籍を失った旧植民地出身者とその子孫を指し、その数は約52万人。

一方、一般永住者は法律に規定された在留資格としての永住許可を取得した人で、日本人の配偶者などに認められる永住権などがこれに当たる。

永住外国人をこのように区分けすることで分かるように、日本における「永住権」は戦後処理の中で "特例的に認められた権利″ という色彩が強く、米国の市民権や欧州諸国の永住権とは歴史も性格も異なっている。

永住外国人の地方参政権問題を考える上で見逃してはならない視点は、いわゆる「戦後処理」問題に直結する、この特別永住者の存在だ。
在日4世だけでも既に2万人を超えているこれらの人々への選挙付与を考えることは、そのまま日本が過去の歴史にどう向き合うかという問題の裏返しでもあるからだ。

だが、それ以上に重要なことは、こうした特別・一般の区分けとは関係なく、64万人の永住外国人はすべて等しく納税義務を果たしており、日本人と同じく「住民」として地域社会を形成しているという事実だ。

長年にわたり定住外国人の差別撤廃運動を推進している 徐龍達(ソヨンダル)桃山学 院大学名誉教授はこう説明する。
「『国民は法律の定めるところにより納税の義務を負う』との憲法第30条の『国民』には定住外国人も含まれるはず。権利と義務は表裏の関係にあり、義務だけを課して権利を認めないのはおかしい。定住外国人が納税の義務を果たしている以上、その使途に注目して自分たちの権利を行使したいと思うのは当然だ」

「Q&A 外国人の地方参政権」などの著書を持つ龍谷大学の田中宏教授も、「キーワードは『住民』である」として、「地方参政権を認めることは外国人を地域社会の一員として正式に迎え入れることであり、それは日本社会の閉鎖性を改めることに弊がり、外国人と共生する "柔構造社会" としての日本の構築をも可能にする」と語る。

公明党が、一貫してこの問題に積極的に取り組んできたのも、まさにそうした観点からだった。
すなわち、「地方のことは地域に住む『住民』が自主的に決定することが好ましく、『成熱した民主主義国家』として、地域に密接な関係を持つと認められる外国人住民の意思も地域の公共的な決定に反映されてしかるべき」 (冬柴幹事長)という主張である。

この考え方に立って公明党は、98年10月に法案を国会に提出。
さらに、2000年の通常国会、同年夏の特別国会でも公明党の主導で法案を提出し、以来、その早期実現に全力を注いできた。

去る20日には、神崎武法代表、浜四津敏子代表代行らが「党本部で在日本大韓民国民団中央本部(民団)金宰淑(キムジェスク)団長から同法案の早期実現の要望を受け、「党を挙げて取り組んでいく」(神崎代表)ことを改めて確認したところである。


現状と課題
  自民党の一部「国籍」盾に反対論
    地方議会は「付与」が主流


永住外国人に地方参政権を認めている国は少なくない。
スウェーデンやデンマーク、ノルウェー、オランダなどでは、一定の居住歴を持つ外国人に選挙権だけでなく被選挙権も認めている。また、EU(欧州連合)では域内の加盟国同士が互いに地方参政権を付与し合い、スペイン、ポルトガル、イギリスは旧植民地の国民に参政権を認めている。

一方、国内を見ても、地方自治レベルでは参政権を付与すべきとの考え方が主流となっている。

例えば、32都道府県・12政令指定都市・1167市区町村の議会で「定住外国人に対する地方参政権付与を求める決議」が採択されている(総務省資料、昨年8月31日現在)ほか、02年3月には滋賀県米原町が永住外国人に投票資格を与える住民投票を初めて実施。同年6月には愛知県高浜市でも、永住外国人の住民投票権を認める条例を制定している。

このように地方参政権を外国人にも開放しようという動きが内外で加速しているにもかかわらず、国会レベルでは議論が進まないのはなぜか。

いくつかの理由の中で最大のネックは、「選挙権は国民固有の権利と定めた憲法に違反する」との慎重・反対論が自民党の一部に根強くあることだ。
選挙権を「国民固有の権利」と定めた憲法第15条に照らして、日本国籍のない永住外国人に地方選挙権を付与することは憲法違反である、とする考え方である。

だが、憲法は一方で、地方自治に関する条文である第93条で「(地方レベルの選挙は)その地方公共団体の住民が直接これを選挙する」と明記しており、事実、95年には、最高裁判所がこの規定に基づき「選挙権の付与は立法権に関わる事柄で、憲法上禁止されるものではない」との判断を下している。永住外国人に選挙権を与えるかどうかについて憲法上の問題はないのであって、どうするかは国会が決めればいい、というわけである。

また、反対派の中には、「日本に帰化すればいい」との主張もある。
だが、「何人も国籍を離脱する自由を侵されない」 (憲法第22条)のであって、極めて個人的な問題である帰化問題を選挙権付与の問題と同次元のテーマとして論じること自体、無理がある。

むしろ、国際化の流れが一層加速するであろう21世紀の地球社会を考えたとき、さまざまな国籍を持つ住民が "良き地域" の構築に向けてともに参画する「多文化共生社会」こそが、日本の目指すべき国家像であるべきだ。
その意味で、永住外国人への選挙権付与問題は、地方自治の在り方から日本人と外国人との関係、人権問題、さらには国家観や社会観まで含んだ重要なテーマと言うほかない。早期の実現が待たれるゆえんである。

          ☆

「在日」に希望と目標を 「国際韓朝研」フォーラムから

在日韓国・朝鮮人が抱える諸問題の研究と解決を目指して多角的な取り組みを展開している「国際在日韓国・朝鮮人研究会」 (会長=徐龍達・桃山学院大学名誉教授)はこのほど、「ロシア沿海州・サハリンの韓朝鮮人はいま〜日本との関係を検証する〜」と題して、大阪市内でフォーラムを開催。
作家の李恢成氏ら4人のパネラーが、在外コリアンが戦前・戦中・戦後の日本とのかかわりの中でどのような歴史を刻んできたかを報告した。

討論では、在日コリアンの地方参政権問題についても言及があり、「実現に際して多くの課題がある」 (ノンフィクション作家の高賛侑氏)としながらも、「早急に実現されるべき問題」 (李恢成氏)であることが確認された。

冒頭、あいさつに立った徐会長は「21世紀は国籍を超越した『アジア市民』社会を築くべき時」とし、その一環として定住外国人の地方参政権問題の重要性を指摘。
続いて各パネラーが、植民地時代に日本の苛酷な支配から逃れようと朝鮮半島から中国東北部やロシア沿海州に渡った人々、あるいは強制連行・強制労働を余儀なくされたサハリン在住の韓国・朝鮮人など、東北アジアの一隅に "棄民" として見捨てられてきた人々と日本との関係を検証した。

このうち、李恢成氏は会場からの質問に答える形で在日コリアンの参政権問題にも触れ、「参政権がないというのは、いわば目標と希望を持たないようにされているようなもの。生きるためには希望が必要であり、その希望の一つが参政権だ。若い在日世代に帰化を進める動きもあるが、それでは歴史が風化されていく」と主張。

一方、高賛侑氏は、「なお存在する "在日バッシング" に対する "戦いの術" の一つとしても参政権は認められるべき」としながらも、参政権を得ることはどの党、どの候補を選ぶのかを突きっけられることでもある、と指摘。
「そこには、ある種の危険があるとも言えるわけで、定住外国人はその自覚をもって取り組むことが重要」と語った。

なお、フォーラム終了後には徐龍達氏の大著「21世紀韓朝鮮人の共生ビジョン」(日本評論社)の出版祝賀会が開かれ、大阪市議会公明党の河本正弘議員らが出席した。
−−−「公明新聞」より転載−−−

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